世の中にたえて櫻のなかりせば春の心はのどけからまし
名にしおはばいざ言問はむ都鳥我がおもふ人はありやなしやと
狩りくらし七夕つめに宿からむあまのかはらに我はきにけり
さつき待つ花たちばなの香をかげば昔の人の袖の香ぞする
月やあらぬ春やむかしの春ならぬ我が身ひとつはもとの身にして
櫻花ちりかひ曇れおいらくの來むといふなるみちまがふがに
世の中にさらぬ別れのなくもがな千世もとなげく人の子のため
紫の色こき時はめもはるに野なる草木ぞわかれざりける
今ぞしるくるしき物と人またむ里をばかれずとふべかりけり
つひにゆく道とはかねてききしかどきのふけふとは思はざりしを
ちはやぶる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くゝるとは
(百人一首)
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