2021年4月9日金曜日

在原業平


世の中にたえて櫻のなかりせば春の心はのどけからまし


名にしおはばいざ言問はむ都鳥我がおもふ人はありやなしやと


狩りくらし七夕つめに宿からむあまのかはらに我はきにけり


さつき待つ花たちばなの香をかげば昔の人の袖の香ぞする


月やあらぬ春やむかしの春ならぬ我が身ひとつはもとの身にして


櫻花ちりかひ曇れおいらくの來むといふなるみちまがふがに


世の中にさらぬ別れのなくもがな千世もとなげく人の子のため


紫の色こき時はめもはるに野なる草木ぞわかれざりける


今ぞしるくるしき物と人またむ里をばかれずとふべかりけり


つひにゆく道とはかねてききしかどきのふけふとは思はざりしを


ちはやぶる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くゝるとは

(百人一首)

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