思ひつつ寝ればや人の見えつらむ
夢と知りせば覚めざらましを(古今和歌集)
色見えで移ろふものは世の中の人の心の花にぞありける
わびぬれば身を浮草の根を絶えて誘ふ水あらば往なむとぞ思ふ
わが背子が来べき宵なりささがにの蜘蛛のふるまひかねてしるしも
いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣をかへしてぞきる
うつつにはさもこそあらめ夢にさへ人めをもると見るがわびしさ
かぎりなき思ひのままに夜もこむ夢ぢをさへに人はとがめじ
夢ぢには足もやすめずかよへどもうつつにひとめ見しごとはあらず
うたた寝に恋しき人を見てしより夢てふものはたのみそめてき
秋の夜も名のみなりけりあふといへば事ぞともなく明けぬるものを
人にあはむ月のなきには思ひおきて胸はしり火に心やけをり
今はとてわが身時雨にふりぬれば事のはさへにうつろひにけり
秋風にあふたのみこそ悲しけれわが身むなしくなりぬと思へば
ともすればあだなる風にさざ波のなびくてふごと我なびけとや
空をゆく月のひかりを雲間より見でや闇にて世ははてぬべき
宵々の夢のたましひ足たゆくありても待たむとぶらひにこよ
花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせし間に
(百人一首)
0 件のコメント:
コメントを投稿