2021年4月14日水曜日

若山牧水

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若山牧水歌集 (岩波文庫) [ 若山牧水 ]
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幾山河越えさり行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく


白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ


うら恋しさやかに恋とならぬまに別れて遠きさまざまな人


白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり


たぽたぽと樽に満ちたる酒は鳴るさびしき心うちつれて鳴る


足音を忍ばせて行けば台所にわが酒の壜は立ちて待ちをる


うす紅に葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山ざくら花


旅人のからだもいつか海となり五月の雨が降るよ港に


麦ばたの垂り穂のうへにかげ見えて電車過ぎゆく池袋村


この冬の夜に愛すべきもの、薔薇あり、つめたき紅の郵便切手あり


水無月の青く明けゆく停車場に少女にも似て動く機関車

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